【断酒57日目】『酔うと化け物になる父がつらい』
今週のお題「読書の秋」
読書と言っても漫画ですので、読書と言っていいのかどうかはまず置いておきまして。
アルコール依存症をテーマにした本は何冊もありますが、読んだことはありませんでした。なんか辛そうだから。
正直、この漫画も読まなければ良かった。途中で3回ぐらい読むのをやめようかと思いました。漫画じゃなかったらたぶん読了できなかったと思います。
なんで読もうと思ったのかと言えば、ダ・ヴィンチニュース(https://ddnavi.com)で作者の菊池真理子さんのインタビューをたまたま目にしたからです。
そこで菊池さんが、ごく最近までお父さんがアルコール依存症だったという認識がなかったと発言されていて、そんなこともあるのかと不思議に思ったのです。
アルコール依存症というと「否認の病」と言われていて、本人は飲酒に問題があることを認めず、周囲の人間がますます苦しむというイメージだったので。
お父さんは典型的な「飲まなければいい人 」で、家ではあまり飲まず、月曜日にはちゃんと仕事に行く人。連続飲酒状態でもないし、それで依存症と思えなかったのかもしれません。
酔って車で事故を起こして焼死しかけたり、妻が新興宗教にはまったあげく娘を残して縊死しても飲むのが止められず、娘の卒業式にも出ないで酒を飲んでいるエピソードを読むと、どう考えてもおかしいんですが。
父親が酒害者だとか問題があるとか思わないから、どこかに相談したりもできないわけです。だから、家族で依存症を克服するという内容ではなく、飲むと言葉も通じないような化け物になる父親に、最後まで苦しめられるエピソードだけが綴られています。そこが読んでいて本当にしんどかったです。
精神科医のゆうきゆうさんが、「お酒を「楽しんで飲んでいるつもり」の、すべての人に読んでほしい。」というコメントをこの本の帯に寄せています。
お父さんも周りの人たちも、ただお酒を飲んで楽しんでいたつもりだったんだろうと思います。
その裏で、娘たちが苦しんでいたのをお父さんは知っていたのか。
マリはそんな機能不全の家庭で育ったせいで、一般的な幸せは選べず、父親と同じように飲酒に問題を抱えていて、その上暴力までふるうような男を選んでしまいます。
そのクズ男とはなんとか別れて、自分を大切にしてくれる人と出会えましたが、結局、菊池さんは家庭を持たないことを選んでいます。
その選択自体どうこうと言うつもりはないけど、両親の影響で選択肢がなくなってしまったのだから、それは悲しすぎます。
家族がめちゃくちゃになっても飲まないといけない酒ってなんなんだろうか。
そこまでして飲みたい理由がわからない。
周りの人も止めなかったのかなぁ。母親を失くした中学生と小学生の娘をほったらかして泥酔してたら、諌める人がいてもいいと思うけど。
そういう人はいたけどお父さんが聞く耳を持たなかったのか。
お父さんの場合は、元々家族との関わり方に難があって、それが飲酒で増幅した印象を受けました。
でもやっぱりわからない。お父さんの心の有り様が。本当にわからないし、わからなくて良かったとも思います。
アルコールの問題だけじゃなくて、いろんな理由でおかしくなっている家庭がたくさんあると思います。
家族の問題が根っこにあって今苦しんでいる人が、この本を読んで辛さの原因に気づければいいと心から感じました。
今は飲んでないから、つらつらと書いたような感想を持ちましたが、飲んでるときにこの本を読んでたらどう思っただろう。
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